こんにちは、中小企業診断士の長谷川です。
今回は持続化補助金の申請書の書き方について説明します。
補助金の申請をしたことがない事業者は、どのような内容の申請書を書けばよいのか、わからない方が多いと思います。
今回の記事を参考にすれば、申請書をどのような内容で、事業計画をどの程度まで書けばよいのかがわかるようになります。
採択されやすい申請書とは
1.補助事業が小規模事業者ならではの創意工夫の特徴があること
・他社競合上優位性がある取り組みであることが必要です。
どのような点が優位性があるのか、優れているのかを記載してください。
・自社では今までやっていなかったことを新規にやってみるでもOKです。
地道な販路開拓であっても、自社として創意工夫した点を書いてください。
・業界唯一や、誰もやっていないことでなくてもOK
他社がやっていない革新的なことまでは求められません。
2.事業計画のストーリーがしっかりしていること
事業計画は以下のようなストーリーで書くとわかりやすくなります。
参考にしてください。
現在の事業状況
↓ 現在はこんな事業を行っており、商品別・事業別売上・利益はこんな状態
外部環境(顧客ニーズ、競合状況、業界動向変化)
↓ 外部環境の変化に対して事業を継続する上で、こんな課題がある
このような 顧客ニーズの変化をビジネスチャンスとしたい
自社の強み、商品、サービスの強み
↓ 自社にはこんな強み、自社商品、サービスにはこんな強みがある
経営方針・目標
自社の経営理念・経営方針と経営目標(ありたい姿)に対して、
↓ 現状ではこんな課題(顧客ニーズのビジネスチャンス・競合による売上減・
市場規模減少など)がある
今後のプラン
経営目標に向けた経営課題を解決するために、自社の強みを活かした
補助事業により今までとは違った顧客開拓、販路開拓の取り組みを行う
補助事業の具体的な内容
経営目標・経営課題を解決できる取組
自社の強みを活かした取組
自社では今までやってこなかった取組
他社に対して差別化できる内容
ものまねでなく創意工夫されている取組 について説明
補助事業の効果
この補助事業により新規顧客の獲得・客単価の上昇・収益性の向上など
の効果が得られる
3.申請書が読みやすくなっていること
重要な審査項目は表題を入れて箇条書きにする
写真・図・表を入れてわかりやすく表現する
数値で表現できるものは数値化して抽象的な表現を避ける
4.実現可能性が高いこと
今までの実績から、販路開拓取組により顧客開拓見込みが立っているということを説明してあると実現可能性が高いと判断されます。
また、取引先からのユーザニーズに応えた新規サービスなので確実に利用してくれる可能性が高いことを説明するのも、わかりやすいでしょう。
5.各審査項目のキーワードについて必ず記載する
審査の観点に記載されている、各項目に対するキーワードがあります。これらが、申請書に記載していないと、その項目が0点になってしまうので、必ず記載しましょう。
キーワードを章立てにすると、審査員が読み飛ばさないので、読みやすい申請書になります。
6.加点項目は申請前から取得し準備しておく
経営力向上計画は比較的簡単に取得できる加点項目なので、時間があれば取得しておくと有利です。
事業承継には加点がありますので、後継者候補が中心となって補助事業を推進する事業計画にして、加点を活かしましょう。
採択されにくい申請書とは
1.補助事業に創意工夫が見られない
販路開拓に効果が期待できないと判断されると採択されにくくなります。
単に欲しいものを購入したいと言うのが見え見えという申請書をよく目にしますが、事業計画の中で必須なものの経費を申請しましょう。
2.必要な審査内容項目の記載がない
他社との差別化、優位性の記載がない
実施体制、実施スケジュールがない
事業計画が実現可能とは思われない
事業計画の数字が間違っている
ユーザー、マーケット、市場規模の記載がない
売上根拠がない などは採択されにくい申請書です。
3.事業費の計上・積算が不透明
補助事業費の計上・積算が不透明だと、補助事業内容が優れていても、採点上不利です。申請内容の数字が不透明だったり、補助事業に必須でないものや、対象経費として認められていない経費が含まれていると、それだけで不採択にない可能性が高くなります。
事業計画書の章立て
次のような章立てで計画書を記載すると、書きやすいと思いますので参考にしてください。下記内容は、ほとんどキーワードが盛り込まれていますので、自社の事業計画の中で少しでも該当することがあれば、触れてください。
経営計画書
1.企業概要 商品、サービス内容
立地、顧客層、他社状況
事業別商品別売上、粗利率
2.顧客ニーズと市場の動向
<市場動向> 統計数字
<競合状況>
<消費者ニーズと消費者動向>
実際の顧客の声、市場調査など
3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み
<自社の売れ筋商品・サービスの特徴>
<自社の強み・弱み>
<市場の機会・ビジネスチャンス>
4.経営方針・目標と今後のプラン
<経営方針・経営理念>
<経営目標> <中期計画> 補助事業計画と関連付け
補助事業計画書
1.補助事業の内容
2.販路開拓等の取組内容
<新たな取組内容> 自社の強みと、事業機会
<差別化、優位性、特徴> 創意工夫したところ
<補助事業の実施スケジュール> 実現可能性
<実施体制> 実現能力
3.業務効率化(生産性向上)
IT活用や生産性向上の取組により業務効率化につながる内容が含まれていれば記載してください。この欄はそのような取り組みが含まれていなければ記載の必要はないことになっていますが、IT活用は加点項目にもあるので記載があった方が有利でしょう。
4.補助事業の効果
■売上増加根拠 費用対効果(費用回収)
(既存顧客+新規顧客)×単価(アップ)×リピート率(向上)
などの売上算出根拠を記載することと、その効果により、補助事業にかける経費が何年で費用回収できるかなどが記載されていると補助事業の効果がわかりやすくなります。
■地域活性化・社会貢献
補助事業の効果として、自社のためだけでなく、取引先、従業員も含めて、地域活性化や社会貢献につながる内容があれば、積極的に記載しましょう。
■売上増加目標、利益目標
経営目標であげた数値目標がこの取り組みで達成できるのが理想です。
まとめ
採択されやすい申請書とは
1.補助事業が小規模事業者ならではの創意工夫の特徴があること
2.事業計画のストーリーがしっかりしている
3.申請書が読みやすくなっていること
4.実現可能性が高いこと
5.各審査項目のキーワードについて必ず記載する
6.加点項目は申請前から取得し準備しておく
事業計画書の章立ては、ストーリーに沿って、必要なキーワードを章のタイトルにすると、読みやすく、必要項目を網羅した計画書が出来上がります。
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