原価管理- 売上を追うな (事例1.製造業の場合)

原価管理

原価管理で重要なことは、いかに会社に利益を残すのかということです。中小企業では厳密な原価計算や原価管理を行うことが難しいため、まずは粗利を管理していくことをお勧めしています。粗利を認識しないで、売上だけを追っていくと大赤字になることがあるという例と、その解決策について事例を挙げて説明します。

赤字会社の典型的なパターン

 金属加工の会社ですが、コロナの影響もあり売上が急減したため、売上を取りに行った結果、一つの受注で大きな売上を上げられる受注案件を積極的に受注していました。

 ところが、このような案件は、売上は立つものの、設計変更、修正などが重なり、結果的に粗利ゼロとなっていたため、大きな赤字を計上していました。さいわいコロナ禍の融資制度のおかげで事業は継続できていましたが、さっそく経営改善に取り組むことになりました。

経営改善の戦略

 後継者も経営改善の取組に参加して、粗利額と粗利率の重要性をよく理解した上で、戦略を考えました。
実は小物の受注の方が売上は大きくはないが粗利が高い案件が多いことに気づき、その会社の得意な技術を活かせる小物の仕事を数多く受注する戦略に切り替えました。

粗利改善の効果

この戦略により、すぐに効果が表れ、粗利率の改善ができ黒字化することができました。コロナ禍で、売上を重視して受注していた仕事を止めて、粗利の高い仕事をこまめに受注することで、粗利率が36%から60%にまで改善することができました。
 売上の小さい仕事を沢山こなさなければならない大変さはありましたが、売上も業界の回復と共に減ることがなく、粗利を重視する戦略がうまくいきました。

まとめ

課題:
売上重視の方針で、粗利率の低い受注を行っていた。結果として仕事は忙しいが、赤字となり資金繰りが厳しい。

分析結果:
取引先別売上・粗利益表を作成したところ、売上の大きい大型の受注程利益率が低いことがわかった。

改善ポイント:
自社の得意な技術を活かせる小物の仕事を積極的に受注し、粗利益率の改善ができた。

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