中小企業施策活用
今年度の中小企業診断士理論政策更新研修の講師を行いました。
研修は6月13日と9月11日が会場での集合研修で、11月28日はZoomによるリモート研修でした。東京協会が実施する更新研修は今回広い会場で密にならないように席を離しての研修でしたが、沢山の中小企業診断士に参加していただきました。
研修テーマは「新しい中小企業施策について」ですが、「中小企業施策活用事例を中心に」という副題で、事業承継時に活用できる補助金、助成金の活用事例を二つ紹介しました。
いずれの事例とも小規模事業者を対象として、最大12回の専門家支援を行うことのできる東京都の中小企業支援にて、後継者が中心になって新たな取り組みを行う中で補助金、助成金の活用を行った事例です。
事業承継円滑化支援助成金の活用事例
一つ目の事例は東京都の助成金で、事業承継円滑化支援助成金の活用事例です。
この助成金は東京都商工会連合会で実施している助成金ですが、紹介した事例では、これから事業承継を予定している後継者が中心となり、新規事業開発を進める中で、新規販路開拓、顧客ニーズに沿った試作開発改良などを行いました。これらの取組を進めることによって、後継者が経営者としての自覚に目覚め、経営計画策定、助成金活用などの経験を積むことができた事例です。
この助成金は今年度からは、「多摩・島しょ地域資源承継支援助成金」として新たに募集をしており、事業承継前、事業承継後、第3者による経営資源の承継などいろいろな事業承継に対応できるようになりました。
事業承継補助金活用事例
二つ目の事例は、国の補助金で、事業承継補助金を活用した事例です。
この助成金は、事業承継してから3年以内若しくはその年に事業承継を予定している後継者の新たな取組に対しての補助金です。紹介した事例では、すでに代表者交代などの事業承継は終えてはいるが、まだ経営の承継ができていない事例でした。専門家による長期支援の中で、事業承継課題の抽出、経営知識の向上などにより、経営者意識の変革を行うことができました。事業承継補助金を活用して、新規自社設備の導入と新規事業への取組を事業計画としてまとめることにより、経営者としての自信につながり、売上向上につながりました。
この補助金は、毎年補助上限額、補助率が変わり、要件も変化していますが、今年度は額や補助率など良くなっています。ものづくり補助金のように、申請内容が高度化していないため、事業承継時には是非活用したい補助金です。
その年の中小企業政策と中小企業施策
中小企業政策に基づいた中小企業施策は、その年の中小企業白書や中小企業関連予算などに盛り込まれていますので、補助金だけでなくこれらの施策を有効に活用することが中小企業診断士の重要な役割ではないかと考えています。
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